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オバマ大統領がネット選挙で5億ドル集めた方法

 

オバマのネット選挙

ようやく日本でもネット選挙解禁ですが、米では2004年頃からネット選挙が行われています。オバマ大統領は、ソーシャル、ゲーミフィケーションを積極的に取り入れ、ネットで5億ドルもの献金を集めることに成功しました。そのオバマ大統領の選挙活動が、ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える』という本の中で紹介されていたのでシェアさせて頂きます!

鍵となった、マイバラクオバマ・ドットコム

オバマの選挙活動支援には、マイバラクオバマ・ドットコムというサイトが立ち上げられた。マイバラクオバマ・ドットコムは、フェイブックの共同創始者の一人がディレクターをつとめたため、ソーシャル・ネットワークをフルに活用した仕組みであるとされている。
マイバラクオバマ・ドットコムに行き、オバマの支援者登録をするためにメールアドレスを送ると、まるでミクシィやフェイブックなどのSNSサイトに登録したかのような画面が現れる。このサイトを用いて行われたキャンペーンの一つがたとえば、ネイバー・トゥー・ネイバー(N2N)だ。これは支援者たちがそれぞれに、ご近所さんを訪問するキャンペーンだ。このキャンペーンでは、支援者が電話勧誘や、戸別訪問をする際に必要となる情報がサイト上で表示される。
電話勧誘をしようとした場合、まず電話勧誘が必要なさまざまなキャンペーンが、重要な順に表示され、キャンペーンを一つ選ぶと電話をかけるべき電話番号のリストが割り当てられた。そして、電話勧誘したり、戸別訪問したりした結果をネイバー・トゥー・ネイバーのシステムに送信することができた。

RPGゲームのようにレベルアップできる

SNSサイトのようなプロフィールページが現れると言ったが、実はこれは単なるプロフィールページではない。その横には、その人が活動したことの度合いを示す指標が現れる。そのなかには、現在のあなたのレベルは★3で、次のレベルは★4です。現在のポイントは何点です、といったステータスが表示されている。
自分がマイバラクオバマ・ドットコムのなかで何をどこまでしたか。たとえば、献金したか、電話をかけたか、戸別訪問をしたか、(中略)。そういったことが、マイバラクオバマ・ドットコムのなかでデータとして集積され、支援者はマイバラクオバマ・ドットコムのなかでのレベルを上げていくことができるのだ。

マイバラクオバマ・ドットコムのプロフィールページ

最初は簡単なことから、徐々に難しく

最初から、戸別訪問のようなハードルの高いことはやらなくてもいい。まずは、登録。そして、個人情報の入力。そして、マイバラクオバマ・ドットコムのシステムを通じて友だちを誘う電子メールを送信する。ここまでは、どこのサイトでもやっているようなことだ。こうした誰でも簡単にできることを少しずつ続けていくと、マイバラクオバマ・ドットコムのなかでのレベルが上昇していく。(中略)そして、いくつものアクション・メニューのうち、支持者は実行しやすい好きなアクションから実行していけばいい。献金をはじめ、マイバラクオバマ・ドットコムのなかでのグループへの参加など、レベルを上げるためのゲームは続いていく。
電話をかけるにも、ゲームとしての入念な仕掛けが施されている。まず、キャンペーンごとに明確な目標が設定される。オバマがメイン州民主党予備選で勝利を収めたときには、一日で四万人に電話をしようという目標が設定された。(中略)オバマの選挙対策委員会は、支持者にいきなり何十回も電話をかけるようにはすすめない。「まずは五回だけ」これがオバマの選挙対策委員会がすすめた電話のかけ方だ。さらに、電話をかけるためのツールまでマイバラクオバマ・ドットコムには揃っている。それがフォンバンク・ツールだ。マイバラクオバマ・ドットコムにログインして、特定の州を対象にした電話勧誘キャンペーンに参加を表明する。これだけで自宅の電話から選挙活動ができるようになる。目標達成までの進捗状況を全員で共有するなど、フォンバンク・ツールは電話勧誘をまるで巨大なオンラインゲームのようにしてしまった。

得られる、達成感

資金集めにもおもしろい工夫がある。(中略)一つは、明確なミッションの設定だ。(中略)たとえば、クリントン陣営のネガティブ戦術に対抗するために、「ライバル陣営が、ネガティブ戦略のような攻撃をしてくるのならば、それに対抗してわれわれの運動はもっと強くなる!」として、一万人の支持者支持者に対して四八時間以内に二五ドルの献金を呼びかけるというキャンペーンを行なっている。
「電話は五回だけ」という支持者に負担をかけ過ぎないようにする方法は、献金のなかでも同じように実行された。支持者を属性ごとに分類して、献金履歴を個別に管理し、直近で何度も献金した人繰り返し献金を求めるメールなどが送られないようにしたのだ。支持者のモチベーションをうまくコントロールするための方法がいくつもなされていた。

個々人にとっての「わたしのゲーム」へ

もっとも興味深いのは、「わたしの資金集め」ページの開設システムだ。これは自分の献金履歴知るためのページではなく、「わたし」が知り合いに献金を呼びかけるためのページだ。オバマへの支援ではなく、個人の集金目標を達成するために友人や家族に支援を呼びかけることができる。自分のメッセージを書き、「なぜ自分がオバマを支援するのか」を訴えることができる。
自分の目標額が一〇〇〇ドルと設定されたならば、一〇〇〇ドルに達成するまでに今何パーセントが達成できているか、そして何人からお金を集めたかがグラフとしてわかりやすく図示される。これは、オバマに何となく「一方的に献金する」のではなく、献金自体を支持者個々人の「攻略可能なミッション」として位置づけて、一人ひとりの感覚を組み替えてしまう「ゲーム」になっている。(中略)オバマの選挙戦は「オバマの人生をかけたゲーム」であるだけでなく、数百万の支持者たち個々人にとっての「わたしのゲーム」へと形を変えたのだ。
マイバラクオバマ・ドットコムの運営にかかわったラハフ・ハーフーシェによれば、「こうしたシステムは、家庭のコンピュータをあたかも地域事務所に変えた」と言う。

以下の本で紹介されていました。

ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える

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